テトへ

テト。お手紙をありがとう。今日、ホークがテトの手紙を持ってきてくれました。無事に皇都に着いたと聞いて安心した。学校はどんなところ? 私も行ってみたいな。こちらは、あれからずっと雨が降っています。今日もまだやむ気配はなくて、空読みの神官が向こう三週間、ちょうどいつもの年と同じ通りに降り続けるだろうと言って喜んでいました。あのね、テト。枯れていた畑の中に緑がぽつぽつと出てきたの。元気を取り戻した野菜がいくつも見つかったんだよ。枯れた葉の下から、もう一度芽を出してくれたの。やっぱりいつもに比べたら小さくて、この先、雨季が終わっても、大きくはならないだろうって言っていた。だけど、みんな笑いながらそう言っていたの。テトたちのおかげ。ありがとう。本当にありがとう。私は今日も神殿にいます。テトたちが私にしてくれたみたいに、何か私もみんなのためにできることはないか、と探しています。私もここで頑張っているよ。いつかまたここへ来て。この前はまわれなかった場所も、一緒にいろんなところへ遊びに行こう。その時は案内するから。本当はね、テト。私の村は、緑でいっぱいなんだよ。雨の降りだす少し前なんかは、とってもきれいなの。春の終わりに枝いっぱいに花を咲さかせる木があって、風が吹くごとに花びらをばらまいてくれるから雪が降っているみたいなの。ここはあまり雪が降らないけど、「雪みたい」って誰かが言っていたのを聞いてから、本物の雪よりも、その木の花びらの方が私にとっては雪みたいに見えるの。だから、きっと、今度は、この前にテトが初めて私の村に来てくれた季節よりも、ちょっと早めに来てね。約束だよ。これを書いている間、ホークが待っていてくれているから、短いけれどここまでにしておきます。またね。お返事待っています。
 

メイリィ