ラピスラズリのかけら 1:奇妙なめぐり合わせ 1 序

 

 ジーニー(魔神)は、目の前に立つ男に言った。
「承知した。お前の願いは叶えてやろう」
 了承の言葉を受けて、人間の男がほっと安堵の溜息をついた。男の緊張が解けゆくのと同時に、彼の表情に喜びの色が広がっていくのが見て取れる。
 ジーニー(魔神)自身も、口の端が緩みそうになるのをぐっと堪えていた。
 長年、待ち望んできた時が訪れた。間にあった。ようやく巡り合えたのだ。
 この機会を逃すつもりなど、彼には毛頭なかった。
「――ただし、条件がある」
 ジーニー(魔神)は厳かに告げる。
再び身を強張らせた男は、はっと顔を上げ、ジーニー(魔神)を見据えた。
「なぁに、簡単なこと。ただ俺の願いも、お前に叶えてもらいたいだけだ」
 緊張で固まったままの男は、予想もしなかったジーニー(魔神)からの提案に、思案するように押し黙る。
しかし、それも一瞬のこと。男の双眸に宿る強い決心を覆すようなものではない。
そうして、人間の男はジーニー(魔神)に問う。
 ジーニー(魔神)には、自然と溢れ出てしまう笑みをこれ以上押し留めることなどできなかった。
 
「あなたの願いとは……?」
 

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