four o'clock  ハロウィンおまけ

Trick or Treat!  後日談 (会話のみ)

 

 ラスリー×アイカ <珍しい組み合わせ>

 
「あ、ランスリーフェン侯爵!」
「アイカ、ずっと思ってたんだが、それ長くないか? 別にラスリーでいいぞ?」
「そう? じゃあ、ラスリー……侯爵」
「なんか間抜けだな。まあ、いいけど。それより、リシェルは大丈夫だったか?」
「自分で泣かしといて、よく言うよね」
「まあ、そう言うなよ」
「―――ねえ、ラスリー侯爵。 押してダメなら引いてみろ、だよ?」
「ほう。引いてるうちに、リシェルが他の奴に取られたら責任とってくれるのか?」
「うっ、それはできない。というか、そんなこと考えたこと無かった」
「大体そんなことでリシェルがこっちを向くのなら、とっくの昔にやっている」
「そっか、大変だね……」
「―――なんか、腹立つな」
「え? うわ!? わ、悪気はないから!! じゃあ! じゃあね、ラスリー侯爵!!」
 
 
 
リシェル×アトラス <二人の逆襲>
 
 
「陛下……何ですか、その書類の山は。いくらなんでも多すぎではないでしょうか?」
「―――ああ、ついさっき(ラスリーが)運んできたんだ」
「全部ですか?」
「全部だ。まあ、仕事だからな」
「ですが、これ……わざわざ陛下がなさらなくても済むようなものばかりではないですか」
「それでも、仕事は仕事だからな」
「―――手伝います」
「それは、正直助かるが……待て、リシェル。そんな両手一杯抱えてどこへ行くんだ?」
「ちょうどいいのでランスリーフェン侯爵の所へ持って行きます。彼ならこのくらいすぐに終わらせてしまうでしょう」
「リシェル……何か怒ってるのか?」
「あんな人、もう知りませんよ」
「そうか―――なら、侍従を呼んで運ばせよう」
「そうですね、手伝ってもらって運べるだけ運びましょう」
「何人ほど呼ぶか?」
「これだけなら、五人もいれば充分ではないでしょうか」
「一応、もう一人くらいつけておくか」
「そうですね、そうしましょう」
 
 
 
 
アイカ×アトラス <バカップル再び>
 
 
「ラスリー侯爵って口調すっかり変わっちゃったよね。なんか前はもっと丁寧で紳士的だった気がするんだけど」
「そうか? 別に変わってないと思うが」
「ううん、絶対変わった! だって、この前フィラディアルに来た時は本物の貴族様って感じだったもん!」
「本物の貴族様……?」
「うん、本物の貴族様! なんか、優雅でかっこいい感じ! 初めて会った時のおててちゅうは正直驚いたけど、思わず見惚れちゃったのも事実なんだよね」
「―――そうか」
「あれ? 王様、やきもち??」
「……なんか嬉しそうだな」
「だって、嬉しいもん。あ、照れてる、可愛いなぁ」
「……コホン。まあ、そうだな、ラスリーの口調が変わったって言うなら奴がアイカに心を許してるってことだろう。気兼ねしてないってことだ」
「ラスリー侯爵が?」
「そうだ。―――というか、アイカ。その“ラスリー侯爵”って呼び方はどうかと思うんだが」
「うーん。ラスリーって呼んでいいって言われたんだけどさ、でも、ねぇ? 王様のことも王様って呼んでるのに他の男の人をそうやって呼ぶのも、ちょっとなぁって思って」
「なら、この機会にアトラスと呼んでみるといい」
「ふぇ? えっと……ア、ト……ってあんまこっち見ないでよ、王様!! こらー! 笑わない!」
「……悪い。なぁ、アイカ?」
「え? 何? ―――って、うわっと、だから不意打ちは禁止だってばぁーーー!!」
 
 
 
 
 
リシェル×ラスリー <なんだかんだで全く進歩の無い二人>
 
 
「リシェル、そんなに書類持ってどうしたんですか? 手伝いますよ」
「ああ、丁度良かった。助かります」
「いや、別に大したことないが……この仕事、全てリシェルがするのか?」
「いえ、私ではなく貴方の所に運んでいるのですよ。ランスリーフェン侯爵」
「これ、全部か? ……一体どこからこんな量の仕事が」
「陛下の所です。あまりにも多量だった為、他の方にも回そうかと」
「あー……(さっき持ってったあれか)」
「貴方が手伝ってくだされば早く済むでしょう?」
「―――そうですね」
「あ、皆さん、そこの机に全て重ねて下さい。ご苦労様です。―――それでは、ランスリーフェン侯爵、私も失礼させていただきます」
「あー……リシェル……」
「何でしょう?」
「先程は本当にすみませんでした」
「……本当に反省しているのなら、もう私の前で倒れるなんて真似、絶対しないでください」
「分かりました」
「あんな思いをするのは二度とごめんです」
「ああ、気を付ける」
「…………ラスリー、やはり私も手伝いましょうか。さすがに持って来すぎてしまったようです」
「いや、大丈夫だ。(元々)俺の(持ち込んだ)仕事だからな」
「そうですか」
「代わりに、終わったらユージア殿の茶を飲みに行ってもいいか? きっとそうした方がすぐに終わる」
「良いですが……ユージアが貴方の為に用意してくれるかは分かりませんよ? ユージアも他の侍女たちも貴方に対して大層怒っていましたから」
「ああ……そうか……」
「けれど、その時は、私が代わりにお茶を入れて差し上げましょう。ユージアのようには上手くいきませんが……」
「―――本当に……リシェルはいちいち俺のツボにはまるから困る」
「何ですか、それは?」
「いや、こちらの話だ。有難う。できるだけ、早く終わらせよう」
 
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