第三幕 佛の御石の鉢 「天竺ってどこにあるんだ」 御石の鉢を持ってこいと言われた実己はほとほと困り果てておりました。 そもそもトゥーアナの言っていた場所から分からないという困りっぷり。とりあえず、天竺という場所が遠いらしいことだけは間違いないと察しているようです。 「普通の鉢じゃだめなんだろうか」 家に帰る途中の山中に落ちていた薄汚れた鉢を前に、彼は胡坐をかいて考え込みます。これを代わりに持って行ってもいいのではないだろうか、と。 「その前に、俺が結婚しなければならない意味はない気がするんだが。別にカミさんが欲しいとは思ったこともないんだが」 それを言ったらお終いでしょう! ――だけど、そうねぇ…………あなたの役どころは、もう特にはないから帰っても構わないと思うわ。あとは、トゥーアナ姫に振られるだけのようだし。 「そうなのか? じゃあ、帰ってもいいなら、帰るか」 実己は、腰を上げると、服に着いた土を払い、家に帰って行きました。 途中で見つけた柘榴の実を、彼は一緒に住んでいる少女の為に持って帰ったそうです。 第三幕終わり。 はい! じゃあまだまだあとがつかえてるから、さくさく進むわよ。 |